私は奈良県の高校を卒業後、銀行勤務を経て、レコードレンタルのフランチャイズ本部に入りました。そしてひょんなことから20代後半、経営の「け」の字も分からないまま、3000万円もの借金がある会社の代表になったのです。
さまざまな変遷があったレンタル業界で赤字会社を立て直し、これらの経験の中でPOP活用術を開発して売り上げ増につなげてきました。
私はCD・DVDなどのレンタル店を手がけた30年間の経験の中で、POPは最もローコストで売り上げアップに直結する優秀な販促ツールであると確信しています。POPなくして店舗運営はありえない、といっても過言ではありません。
POPは忙しいときや、他のお客さまの接客をしているときなど、店長やスタッフの代わりに商品の説明をしてくれる強い「味方」です。1人のスタッフに匹敵するほどのパワーを持っています。POPはお店にとって最強の即戦力です。
POPで「売り上げを上げたい」というのが本音ですが、それではお客さまに対して押しつけがましくなってしまいます。ですから商品の魅力、どのようなお客さまにおすすめなのかなど、丁寧に心を込めて書くことが大切です。
POPのコメントは、お店で働いている人にとっては当たり前の知識でも、お客さまから見ると、お友達に教えたくなるような雑学・知識であることが多いものです。
「生き残るお店」は「お客さまに愛されるお店」。愛されるため、あなたならではの、お客さまに役立つ情報を発信してほしいのです。 (田中博子)
POP文字、きちんと書けば心に残る
基本的にPOP文字の書き方練習は二の次でいきましょう。テレビなどでおなじみの資格講座の中に「POPデザイン講座」もありますが、通信講座は3カ月から半年はかかります。その期間がもったいないので、まずは書き始めましょう。
専用のノートなどを用意して、これから書く文章を考えてください。何度か修正を入れてコメントPOPに清書します。下手な字でも構いません。下手でもきちんと書かれたものは心に残ります。とにかく1字1字、丁寧に書くことを心がけてください。
書く道具は、人それぞれ好みがありますから、100円ショップなどでサインペン、油性マーカー、フェルトペン、色鉛筆、ボールペン、水性ボールペンなどを入手して試してみましょう。
コメントPOP用の用紙は、既製品もいくつか販売されていますが、やや割高です。少し厚手の紙を用意して自由にカットして手作りにしたほうが安くできますし、何枚でも書こうという気になりますのでおすすめです。
POP文字や筆文字の上達法は、まねをすることです。POP文字の書き方の書籍を手に入れて、少しずつまねしてください。
せっかく書いたコメントは、できるだけ何度も使い回しましょう。お店発行のニュースレターにも隙間があれば差し込んでしまいましょう。メルマガを発行しているお店でしたら、それにも使えますよね。媒体に応じて少しアレンジを加えた方がよい場合もあります。ツイッターやブログにも使いましょう。フェイスブックなどSNSとの連携もアリです。 (田中博子)
【成功者の心得】
「ランキング」でムダ削減&売り上げ増 2014.04.17
映画や音楽関係では、今週の興行収入1位、オリコン1位、ビルボード1位…と、何かにつけてランキングをアピールする習慣があります。ハリウッド映画は1週間でも1位になれば、「全米1位獲得映画」と宣伝します。そうすることで話題になることを知っているからです。
あなたのお店などで一番売れている商品、先週一番売れた商品、これまで最も売れた商品を探してみてください。そして、それらをPOPにしてください。お客さまがどれにしようか迷ったときに役立ちます。
レストランで店員さんに「一番おいしいのはどれですか」と聞き、「○○です」と答えてくれたら、よほどのことがない限りそのメニューを注文しますよね。これが「一番」の力です。
ランキングというからには、2位、3位もあります。そこで、店内に「ランキングコーナー」を作りましょう。1位、2位、3位と並んでいれば、1位の商品が最も売れていて、2位、3位もそこそこ売れるので、お店側からすると、何がどのくらい売れるか予想ができるようになります。しかも、それを仕入れの参考にできます。ランキングに入りそうもない商品は仕入れを絞るか仕入れないようになるので、無駄が減るのです。
1位の商品が超強力だと、2位以下の商品の売れ行きが違ってきます。強力な1位商品は2位以下の商品を引っ張ります。ですから、1位の商品が思いっきり売れるようにコメントPOPを工夫してアピールします。1位の商品が売れるほど全体の売り上げはアップするのです。(田中博子)